スパイものの映画・漫画・小説には、めくるめく魅惑の秘密兵器が登場しますね。
例えば「腕時計型の万能通信機」がApple Watchとしてすでに商品化されているように、かつては荒唐無稽な想像の産物とされていたような機器が、どんどん現実のものになっています。
一例として、スパイ物に欠かせない「盗聴」。
お馴染みのマイク&発信機のタイプなんて、設置が大変でバレやすいものは、いまや浮気調査かアマチュア変質者ぐらいしか使いません(笑)
名前からしてカッコいいのが「レーザーマイクロフォン」。部屋の窓や物が、声によって微妙に振動するのをレーザーで読み取り、離れた所から音声を収録するという技術です。もちろん現場には何も残らない、スパイにうってつけの技術です!
私も最近知ったのですが、この原理を開発したのは、手を触れずに演奏できる電子楽器「テルミン」の発明者である、旧ソ連の科学者レフ・テルミン博士だとか。
実は音響や楽器系のテクノロジーは軍需産業と関わりが深い事も多く、現在の音楽制作・音響処理に使うソフトで超メジャーな会社の一つは、イスラエルの企業だったりします(その会社のソフトは僕も毎日使いまくっています)。
そんなイスラエルから最近出てきた驚きの技術が「部屋に吊り下がっている電球の揺れから音声を再現する」というもの。振動を観測するという仕組みはレーザーと一緒ですが、現在のカメラは超高解像度&高感度になっているので、電球のほんの微細な揺れを感知できちゃうらしいです。レーザーよりもさらに手軽!
この亜流としては、パソコンの電源ランプの明るさが、処理の内容で微妙に変化(人間の目ではとても感知できない)するのを読み取り、パスワードなどのデータを盗む手段もあるとか。
ホンマかいな?と思いますが、原理的にはありえない話とも言い切れません。
そして最近聞いた中で一番驚いたのが、「鍵を鍵穴に差し込む音」を録音し、その音から鍵の形状を割り出して複製してしまう方法が登場したそうです!
これも原理を聞くと納得で、鍵を入れる「ジャッ」という一瞬の音は、鍵とシリンダーとが接触することで発生するので、それを細かく分析することで形状を逆算できるとの事です。
上記それぞれの技術にどれぐらいの実用性があるのかは不明ですが、共通するのは「声(音)」や「形」といった情報を、一見して無関係に思えるような物への影響から読み取るという発想の柔らかさ。
これって、基本となる知識・教養は必要ですが、学歴秀才的な「すでに出ている答えの遵守」では絶対にうまれないものなんですよね。
物事の見方や発想の展開は、実は理系・文系という区分けはあなり関係なく、認知した事象を抽象的に捉え、他の対象との共通点に結びつけるといったシナプスの柔軟さにかかっています。
昨日のみなぼんさんの記事、ちぇぶさんの記事で触れられていた「芸能人を守る法律」を喧伝する人の思考回路は、こうした柔軟さと真逆のものと言えるでしょう。
思想とは、人間がもっとも大きな自由を得られる「内心の世界」において、抽象と具象の間を自由に飛び回りながら物事を見つめる事に他なりません。
キャンセルカルチャーに代表されるポリコレ的観念を濫用する者は、一番自由な世界のあるはずの内心が麻痺し、コスパとタイパに急き立てられた情報へのリアクションしかできない木偶人形になっているのではないか。
彼らがスパイになったら、自らの職種を保護するため、あらゆる密談の場に盗聴器を設置する法律の制定を求める運動とか始めかねませんね(笑)